ギ・パドラーズの庭、筒尾の浜から五キロほど沖に出ると其の島がある。櫃島(ひつしま)という。
と、或る時から時間が止まった儘の集落に立つと、遣る瀬なくも懐かしい空気に包まれるのだ。此処は何時の時代なのだろうって…
集落の家屋や神社は荒れ放題のようにも見えるが、然うでもない。集落の裏手の思いのほか広い畑も荒れ地ばかりではない。この、嘗て人の暮らしが在った島に惹かれるのは、未だに人知れず島通いをして畑を耕し、柑橘畑を手入れし、残されたわが家を慈しむ其の昔を過ごした人たちの想いが漂っているからだろうか…
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